月末の自分へ

【第一章】ep3.ブラック営業マン_どん底

営業のしんどさを痛感する。

目次

初めての転勤

入社4年目、新天地での営業は熾烈を極めた。

行ったこともなく、誰一人知らない土地に配属になり、最初は職場の環境に慣れるまでとても苦労した。

私が配属になったのは、都心部ではなくどちらかというと地方の田舎だった。

県民性なのか年配者は気性が荒い人が多く、営業として相手するお客さんとの関係づくりが大変だった。

また地方は方言というのが非常に厄介だ。何を言っているのか分からず、3回聞き直したらブチギレられた。

人情に厚く、懐に一度飛び込んでしまえば、一気に距離は縮められるが、そこに至るまでの道のりはやさしくはなかった。

営業の失敗談。営業を経験したことがある人なら誰しも1つや2つはエピソードを持っていると思う。

皆さんはどのようなエピソードを持っているだろうか。是非とも聞かせて頂きたい。

現場監禁事件

これは職種にもよると思うが、経験あるという方も多いと思う。

私の場合は、私だけでなく、私の上司も一緒に終日現場に監禁された。

さらに言うと、一旦別の予定があり、途中抜けしようと現場を離れた上司に、お客さんが気づき、わざわざ電話をかけて連れ戻すという、何とも言えない話がおまけでついてくる。目の前でみていた私の立場はない。

なぜこうなったのか。詳細は割愛させて頂くが、物事を進める上で、工期のスケジュール把握と現場状況の把握、それを関係者で逐一共有することが非常に大事だということだ。

この現場は取りつかれたように、ミスがとても重なった。

現調ミス、発注ミス、施工ミス。全て同じ現場で発生したのである。

おかげで予定の工期から大幅に遅れ、お客さんは大変ご立腹。

毎日毎日、工事の催促と激怒の声が私に届いた。

アーモンドチョコレート。

一番精神的に落ち込み、夕食も手につかなかった時、唯一食べれた食べ物である。

働き盛りの20代の夕食がアーモンドチョコレートだなんて、なんともシュールすぎる。あの時はとてもしんどかった。

ミスを全くしない人はいないと思う。大事なのはミスが起こった時に、被害を最小限に抑え、リカバリーを早くすることだ。

そのためのリスクマネジメントはミスが起こる前からしておく必要があると、この大変な経験し、痛感した。

結局この現場は予定の工期は大幅に過ぎ、もうこれ以上待てないと言われた日の夜の22時にようやく終わった。

最後は私の上司、お客さん総出で作業に取り掛かった。今思い返してもその当時のしんどさが蘇ってくる。まさに気分はどん底だった。

仕事は一人ではできない。ただ営業としてお客さんを担当しているのは私で、すべての窓口は私になる。

たとえ関係部署のミスであろうがフロントにいる営業の責任になるのだ。怒りの矛先は全て営業に向けられる。

その認識が当時の私にはなかった。各関係部署がしっかり役割を果たしてくれさえすれば物事はうまくいく。

何かあっても担当部署がなんとかしてくれるだろう。

そんな甘え、気の緩みが招いた事件だったと今になって思う。

ホウレンソウ。社会人で最初の研修で習った言葉。

これ、非常に大事な言葉なので、もしできていないなと思った方は、是非意識して実践していただきたい。自分の身を守る意味でも非常に大事です。

何か予定と違ったことが起こった時、些細な出来事も関係者同士で情報を共有しておくこと。

誤っても「この程度なら大丈夫だろう」と自分の判断で蓋をしないことだ。

常に情報を共有しておくことで事態を最小限に食い止めることができる。些細な違和感が蓄積され爆発したときには、すでに時遅しである。

この経験を通しで私はこのことを胸に刻んだ。

メンタルブレイク~その1~

同じ現場で商品を2度発注を間違えた。

当然お客さんは大変ご立腹。菓子折りを持参して、現場に急行した。

渡した菓子折りを目の前で叩き落され、「商品が無事納まるまで、正座して見守っていろ」というありがたい言葉を頂戴し、冷たい床に長時間正座をした。しかもこの日は休みの土曜日である。

私の貴重な休日は、正座という修行僧のような一日に変換された。

人間怒鳴られ過ぎると途中でマヒしてくる。不思議と後半はお経のように聞こえてくるものだ。

まさに修行僧と化した瞬間だった。

現場から解放されたのは、日が沈む前の夕方頃だった。

さすがに疲労も重なり、私の心はメンタルブレイクしていた。

話は変わるが、皆さん、落ち込んだ時に聴く曲はあるだろうか。

私の場合はベタかもしれないが、ZARDさんの「負けないで」である。その日の帰り道、一人、車内で熱唱した。

気分が落ちた時に聴く1曲があるとすごく良いと思う。

その曲を聴くと、当時の辛かった思い出も一緒に振り返ることができ、あんな辛かったことも無事に乗り切れたんだから今回も大丈夫と思えてくるものだ。

その曲が、思い出も乗っかり、自分にとっての最強の味方へと変身する。

是非、皆さんもここぞという時に聴く1曲を持つことをお勧めします。

メンタルブレイク~その2~

同じ現場で商品を2度発注を間違えた。

ん?デジャブ?と思うだろうが、本当だ。別の現場で同じことをやってしまったのだ。

1回間違えて、2回目の取り付け。

自分の目の前でお客さんが取り付け作業をしており、「だめだこれ。サイズが合わない、納まらない。」と言われた時の絶望感は半端ない。

「ああ、終わった」と頭が真っ白になる。本当に思考が停止する経験をこの時初めて経験した。

言葉が出てこないのである。

この時もメンタルブレイクした。

そこからの浴びせられる怒号の数々はお察しの通りである。今思い出しても胸が痛くなってくる。この時も気分はどん底だった。

人って嫌なことが起こるとそれしか考えられなくなる。その時の私は、まさにその状態だった。

渦中の時は、他で良いことがあったとしても全てこの嫌なことに上書きされてしまった。

結局、この現場は色々な人の助けを借り、なんとか無事に解決することはできた。

この経験を通し、1人で仕事は絶対できないし、仕事は助け合いが大事だなと実感した。

なのでこの日を境に私は、感謝の言葉をメールや電話でもしっかり伝えるということを心掛けてやっている。

誰もがわざとミスして、相手を困らせようとして仕事をしているわけではない。

みんな自分の役割を全うしようとするが、その過程で予期せぬミスをしてしまう。

その根底を理解し、ミスが起きてしまった後どう対応し、行動するかが非常に大事で、その行動が次の機会に活きてくる。

怒鳴って解決する話ならいくらでも怒鳴ればいいと思う。

ただ、物事で感情論で解決する事象は、あまりないと思う。もちろん非を認めてしっかり謝罪することはまず第一に必要だ。

そのうえで大事なのは、冷静な目で解決までに必要なことは何か。最短ルートは何か。を判断し、解決に向けてすぐに動くこと。

解決したら、関係部署とも共有し、安堵感の共有と協力の感謝を伝えること。

そして今回の反省を行い、再発防止策を考え、関係部署と共有し同じことが起こらないように次に繋げていくことだと思う。

ここまでで入社してから、はや4年が経過した。

今こうして振返ってみると、所謂「仕事ができる」という方とは、程遠いダメな社会人だったと思う。

ただ、こうした失敗を若いうちにできた事は、今思うと良かったと思っている。

そこには何かしらの「学び」があり、それにより少しずつ成長していく事が出来たと断言できるからだ。

確かに失敗するのは怖い。

ただ、「その失敗から今度は何を学べるかな。」という少し変態的な思考を持つと、だいぶ気持ちも楽になってくる。

それでは、次回「ビバ!社畜生活!?」でお会いしましょう。

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